当院における避妊・ピル処方
当院では、避妊目的でのピルの処方も行っています。通常、ピルの処方は自由診療となります。
緊急避妊(アフターピル)
避妊具をつけないで性行為に及んでしまった、あるいは避妊具(コンドーム)が破れるなどして避妊に失敗したという場合、望まない妊娠にならないように処方されるのが緊急避妊ピル(アフターピル)です。アフターピルは、妊娠の可能性がある性行為から72時間以内に服用する必要があります。
このアフターピルですが、正しく服用したとしても妊娠阻害率は100%ではありません。また、妊娠が成立していないかどうかは、次の月経予定日に月経がはじまるまでわかりません。月経予定日から1~2週間が過ぎても月経が来ない場合は、妊娠検査薬での検査をしてみましょう。
アフターピルの服用による副作用としては、嘔吐・吐き気、消退出血、頭痛、倦怠感、めまい、腹痛などが見られる場合があります。アフターピルは医師による処方が必要なため、早めに受診するようにしましょう。
低用量ピル
ピルとは、女性ホルモンを含んだ経口避妊薬です。低用量ピルの服用により、排卵の抑制、子宮内膜の変化、子宮の粘液の変化が起こり、正しく服用すれば避妊の効果があります。
ピルにはエストロゲンとプロゲストロンという2種類の女性ホルモンが含まれており、そのホルモン量により、高用量、中用量、低用量と分類されます。含まれるホルモン量が多いほど血栓症などの副作用のリスクが高まります。低用量ピルも、頭痛や吐き気、不正出血、乳房の張りなどの副作用が見られることもあります。
もともとは避妊用に開発されたピルですが、月経前症候群(PMS)や月経不順および月経痛の緩和、生理周期の調整などさまざまな用途で処方されています。
月経移動
結婚式や旅行、受験や試合など大事な予定の日と月経予定日がかぶってしまうこともあるでしょう。月経予定日を移動する場合(月経移動)に使用されるのが中用量ピルです。ピルを内服することで月経予定を早く、もしくは遅くすることが出来ます。
中用量ピルは低用量ピルと比較して、ホルモンの配合量が多いです。そのため、低用量ピルと比較すると、頭痛や吐き気、不正出血、血栓症などの副作用が出やすい傾向があります。しかし、月経移動での服用は一時期だけですので、一過性であるケースがほとんどです。
月経を遅らせる場合
月経がはじまる予定日の5日前から月経を遅らせたい日までピルを服用します。服用をやめるとその数日後に月経が来ます。
月経を早める場合
予定日を早めたい月経の前の月経が開始してから5日目までにピルの服用を開始します。そのあと服用をやめた2~4日後くらいには月経がはじまります。月経を早める場合、生理日を避けたい日にピルを服用する必要がありません。月経を早める場合は、早めたい月経の前の月経からピルの服用を始める必要があるため、早めに受診するようにしましょう。
ミレーナ挿入・抜去
ミレーナとは、黄体ホルモンを放出する避妊リングです。子宮内に装着することで、レボノルゲストレルというホルモンを継続的に放出することで子宮内膜を薄い状態で維持し、受精卵の着床を防ぎます。高い避妊効果を持つものとして知られており、一度装着すると5年間継続使用することが可能です。ピルのように毎日服用するなど手間が少なく、長期的な目で見るとコストも低く抑えることが出来ます。
避妊効果以外に、ミレーナの装着により月経困難症や過多月経の改善という効果も期待できます。
副作用としては、腹痛や月経周期の変化、不正出血、長期留置による感染の可能性などがあります。通常、腹痛や不正出血といった症状は時間の経過とともに落ち着いてきます。
ミレーナの装着をおすすめする方
- 低用量ピルでの避妊が面倒、飲み忘れることがある
- 低用量ピルの使用ができない(血栓などのリスクによる)
- 月経痛がひどい、月経量が多い
- 早期に妊娠を考えていない
- 高い避妊効果が欲しい
ミレーナの装着ができない場合
- ミレーナの成分が身体に合わない
- ミレーナ挿入に強い痛みを感じた
- 妊娠中、妊娠の可能性がある
- 不正出血がある
- 性感染症にかかっている、過去3カ月以内にかかった
- 子宮内膜炎、卵管炎、子宮頚管炎、膣炎がある
- 重い肝障害、肝腫瘍がある
- 子宮の形状・位置に異常がある
- 子宮外妊娠をしたことがある
ミレーナの挿入・抜去
当院では、ミレーナの挿入及び抜去を行っています。
ミレーナの挿入前には検査が必要です。検査を実施し問題がなければ、月経の開始から4日目~7日目に挿入を行います。未産婦の方は、子宮頚管拡張の処置が必要な場合もあります。挿入後は、1か月、3カ月、6か月、12カ月後の受診が必要です。その後は1年ごとに受診して下さい。
装着から5年目の受診の際にはミレーナの抜去を行います。妊娠を希望されるようになった方は5年を待たずに抜去することも可能です。